ケガをしたことに気がつかない? 発達障害の子どもの感覚鈍麻

ケガをしたことに気がつかない? 発達障害の子どもの感覚鈍麻

 発達障害のあるお子さまの中には、通常と異なる感覚をもつ子もいます。主に五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚の5つの感覚)などが過剰に反応する場合を『感覚過敏』、反応が鈍い場合を『感覚鈍麻』とよびます。感じにくいことが特徴である感覚鈍麻は、感覚過敏に比べると周囲の人からは気づかれにくいと言われています。

感覚鈍麻の特徴とは?

 感覚鈍麻は感覚の鈍感さ(低反応性)ともよばれ、感覚に偏りがあることが原因の一つだと言われています。
 感覚鈍麻は感じにくいことが特徴であることから、本人も周囲も気づきづらく、ケガややけど、骨折をしたのに痛みに気がつかず、手当てが遅れてしまうということがあります。

聴覚に鈍さがある場合

・音が聞き取りにくい
 呼びかけに対する反応などが低く、授業の内容や連絡事項を聞き逃したり、友だちからの声かけに気がつかず無視してしまったりしてトラブルになることがあります。

触覚に鈍さがある場合

・暑さや寒さを感じにくい
 温度を感じにくいので適切な服装をするのが難しく、寒い日に薄着をして風邪をひいたり、暑い日に厚着をして熱中症になったりしてしまう可能性があります。

・痛みを感じにくい
 傷ができたり、出血したりしても自覚しにくいため、病院に行くのが遅れて悪化してしまう場合があります。また、虫歯などが進行していることに気がつかず、治療が遅れてしまうことも。

感覚鈍麻のある子どもの困りごとへの対策

聴覚に鈍さがある場合

・注意を向けさせてから話す
 肩をたたく、目を合わせるなど、注意を向けてから話しかけるようにすることで気づきやすくなります。連絡事項などは、口頭だけでなく紙に書いて伝えるとよいでしょう。

触覚に鈍さがある場合

・具体的な声かけをする
 「今日は寒いから上着を着ようね」のように、言葉や態度でお子さまが感じにくい感覚を伝え、どうすればよいのかを教えてあげましょう。
 熱中症などへの対策では、時間で区切って定期的に水分補給をするというきまりをつくって、お子さま自身が自分で実践しやすいように誘導してあげるのもよいでしょう。

・危険な物を視覚的に気づけるようにする
 触ってはいけないものをわかりやすくしておくことが大切です。例えば、「熱いから触らない!」などと書いた看板などを掲示して危険性を伝えます。

 無理にでも慣れさせようとすると、トラウマになってしまう可能性が高くなります。原因を取り除く、原因になっているものから離れるなどの対処が有効です。お子さまがどんなふうに周りのことを感じているのか理解し、過ごしやすくするにはどうしたらよいか、お子さまと一緒に考えていけるとよいですね。

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