発達に遅れや偏りがある子どもは、目に見えないことを想定して行動することが苦手です。
一般的な子どもが自然にできる「○時に□□□をする」といった日常のことがうまく行えないのです。
それを支援する方法の一つに「時間の構造化」があります。
実際、どのようにするのか、その方法や工夫について見てみましょう。
「時間の構造化」とは、1日のスケジュールや特定の場所で行う活動などについて、「いつ」「何をするのか」を、文字や写真、イラスト、マーク、ピクトグラムなどを使って、可視化(見える化)することです。
発達障害(神経発達症/神経発達症群)(*)やグレーゾーンのお子さまの中には、時間の概念を理解することが難しく、先が見えないことに対して強い不安やイライラを抱く子どもが多くいます。
そこで、「今、何をするのか」「次に何をするのか」を目に見えるかたちではっきりと示してあげることで、イライラや不安が解消され、先々の見通しを持ちながら、活動に取り組むことができます。
また、発達障害の子どもは、耳で聞いただけのことを記憶しておくのが苦手なので、何度も繰り返し確認しなければなりません。
「いつ」「何をするのか」がわかりやすく掲示されていれば、必要なときに気兼ねなく自分で確認することができます。
「見える化」で見通しが立つことによって、お子さまは大きな安心感を得られるのです。
(*)「発達障害」は、医学的には「神経発達症」「神経発達症」と呼ばれます。
また、「発達障がい」について検索される方の便宜を考慮し、 神経発達症のことを一部「発達障害」と表記させていただいております。
1日の流れや活動の流れがひと目でわかれば、お子さまは自分のスケジュールを把握でき、やがて、自身で管理できるようになります。
ただ、項目数が多いと混乱するおそれがあるので、慣れないうちは表示する量を調整したほうがよいでしょう。
例えば、「平日の朝(起床~登校)」「平日の夕方(帰宅~夕食)」「平日の夜(夕食後~就寝」といった具合に、小分けする方法がおすすめです。
慣れてきたら、「1週間分」「1か月分」を作り、あわせて掲示しておきましょう。
「1日の流れ」の見える化の1つに、「時間」と「活動内容」をそれぞれカードにして組み合わせていく方法があります。
基本の作り方は次の通りです。
①「時間」と「すること」をカード形式の紙にかく
・ 文字とビジュアル(イラスト、マーク、ピクトグラム、写真)を組み合わせる
→ビジュアルは、お子さまの理解力に合わせて、最適なものを選びましょう。
②次の配置を基本に掲示する
・流れ は 「上から下へ」、または「左から右へ」
・ 左に「いつ」(時間、順序)、右に「何をするか」(活動項目)を表示する
「1日の流れ」は、活動する前と活用した後、それぞれ確認するようにしましょう。
①活動する前
・「時間」と時計を確認し、「すること」を確かめる
②活動した後
・今どの活動をやり終えたかを再度確認する
・終わったら「移動する」「片付ける」などの作業を加える(終わったことが明確に)
・「次にすること」を確認する
③予定が変わったら
・新しく入ってきた予定にマークなどを付けて、認識しやすくする
発達に遅れや偏りのあるお子さまは、スケジュールにある程度慣れてきても、予定になかったことが生じるとかなり混乱します。
中には不安感の強さから、パニックに陥る子どももいるので、変更の可能性のある予定や新たに入りそうなイベントなどがあれば、あらかじめスケジュールとあわせて掲示しておくとよいでしょう。
変更の可能性がある程度予測できると、急な予定変更があっても、大きな混乱は避けられます。
また、このような急な予定変更を何度か経験するうちに、お子さまに「予定は変わることがある」という認識が生まれ、柔軟に対応できるようになります。
スケジュールの把握と管理は、大人になってからも必要になる大切なスキルです。
子どものころから「時間の構造化」で習慣づけておくと、お子さまの自信を育み、自立へとつながっていくでしょう。
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