自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)など発達障害の子どもは、睡眠障害を合併することが多いといわれています。
子どもの睡眠障害にはどんな症状があるのでしょうか。
改善のポイントともに見てみましょう。
しっかり眠ることは、成長期の子どもにとってとても大切です。
睡眠によって、脳の発達や情緒の安定、身体の成長が促されるからです。
しかし、発達障害の子どもの多くは睡眠障害も併発しているといわれ、その割合は、ADHDの子どもで25~50%、ASDの子どもで50~80%にものぼるという報告もあります。
理由は明らかではありませんが、成長の過程において脳の機能が不十分であることや、ドーパミンなど覚醒状態に関係する物質の分泌量の調整が不十分であることなどが挙げられます。
特に、ADHDの子どもは多動性・不注意という特性から繁忙な思考や興奮が起こっているため、ASDの子どもは不安傾向が強いという特性から感覚が過敏になって覚醒状態が続くためといわれています。
睡眠障害は、眠りに何らかの問題がある状態です。
そのパターンは、大きく3つに分けられます。
➊不眠症[眠りにくいパターン]
・なかなか寝つけない(入眠困難)
・眠っている途中で目が覚め、それから眠れなくなる(中途覚醒)
・夜中や朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
➌過眠症[眠りすぎるパターン]
・夜間にちゃんと眠っていても、日中に眠気が生じて起きているのが困難な状態
➌概日リズム(サーカディアンリズム)障害[睡眠のリズムが崩れていくパターン]
・昼と夜のリズムが体内時計が調節できず、睡眠と覚醒のリズムが乱れた状態
人間は誰でも「体内時計」をもっています。
体内時計は「朝目覚めて、夜眠くなる」といったリズムをつくるもので、このはたらきによって人間はほぼ毎日、同じ時刻に目覚めたり眠ったりしています。
これを「概日リズム(サーカディアンリズム)といいますが、発達障害の子どもは、生まれもった感覚の過敏さや体内時計の問題などから、概日リズムがくるいやすいとされています。
実はこの体内時計の周期は、個人差はありますが、24時間より長いということがわかっています。
1日は24時間ですから、そのままにしておくと毎日ずつズレていきます。
このズレを正すのに最も効果的なのが、「朝の光を浴びること」です。
朝起きてすぐに日光を浴びることで、ズレていた体内時計がもとに戻り、頭も体も活動モードに入るのです。
体内時計をリセットするには、朝いちばんに日光を浴びるほかにも、下記のようなポイントがあります。
■朝ごはんをしっかり食べること
体内時計は、脳の「親時計」と内臓の「子時計」の2種類から成り立っていいて、それぞれがさまざまなリズムを刻んでいます。
朝食をとることで、子時計が目覚め、親時計とともに覚醒した状態になるのです。
■休日も同じ時間に起きること
平日の睡眠が足りないからといって、休日にたっぷり眠って朝遅く起きるという行動はよくありません。
起きる時間がズレることで体内時計も乱れてしまい、不調を招いてしまうからです。
■昼間に日光をたくさん浴びること
できるだけ外に出て、体を動かすようにしましょう。
ぐっすり眠るカギを握っているのが「睡眠ホルモン」です。
そのもとになっているのが「セロトニン」という物質で、昼間にたくさん日光を浴びることでつくられます。
また、夜になるとこのセロトニンを原料にして、「メラトニン」という物質がつくられます。
これは、自然な眠りへと誘導する物質です。
この2つが作られることで、ぐっすり眠ることができるのです。
今は寒い時期なので、外に出るのが億劫になりがちですが、お天気の良い日は親子で近くにお散歩するのもいいですね。
また、室内の当たりのよい場所で日向ぼっこをするだけでもよいかもしれません。
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