発達に遅れや偏りがある子どもは、「今すること」「次にすること」がわからなくなることがあります。
そうした子どもを支援する方法の一つとして考えられるのが、「活動の構造化」です。
どんなことをするのか、やり方や工夫のポイントなどを見てみましょう。
「活動の構造化」とは、「何をするのか」「どのようにするのか」「どうなると終わりになるのか」ということを、文字や写真、イラスト、マーク、ピクトグラムなどを使って、可視化(見える化)することです。
「時間の構造化」と似ていますが、「時間の構造化」が日常生活の流れに沿うなど一定の時間幅のある活動や行動を見える化するのに対して、「活動の構造化」は、特定の場面や限定された状況における活動や行動をより具体的に示す方法になります。
例えば、勉強するときに準備するもの(例:教科書、ノート、筆箱、下敷き、ものさしなど)やその並べ方、手洗いの順序、ゲームを片付ける手順などを目に見えるかたちで示し、その行動を促すという方法です。
発達障害(神経発達症/神経発達症群)(*)やグレーゾーンのお子さまの中には、耳で聞いただけの情報を記憶しておくことや、一般的な子どもが習慣的に行っていることを何も見ずに行うのが難しい子どもが多くいます。
「どんな手順で行えばいいのか」「どうなると終わりになるのか」などをあらかじめ理解し、見通しをもつことで、安心して活動できます。
また、人に尋ねなくても、自分で自由に確認できることも安心感につながります。
(*)「発達障害」は、医学的には「神経発達症」「神経発達症」と呼ばれます。
また、「発達障がい」について検索される方の便宜を考慮し、 神経発達症のことを一部「発達障害」と表記させていただいております。
活動の構造化は、「すること」の順番や具体的な内容をわかりやすく示すことです。
具体的な例を見てみましょう。
毎日することの手順や習慣的に行うことについての注意事項を示しておくと、迷わずに行うことができます。
【手順の例】
・手洗いの順序、タイミング
・歯みがきの順序
・おふろの入り方
・体の洗い方 など
【注意事項の例】
・爪の切り方
・ドアノ開け閉めの仕方 など
発達に遅れや偏りのあるお子さまにお手伝いをさせるのは、少しハードルが高いと感じる保護者の方もいらっしゃると思います。
しかし、決まったことを目に見えるかたちで示してあげると、うまくこなせるお子さまも多いです。
手順書(マニュアル)に沿ってできるようになれば、お子さまに自信が生まれますし、家族も助かります。
料理や配膳、掃除、洗濯、ペットの世話など、お子さまの興味や適性を考えて、簡単なものから挑戦してみましょう。
【お手伝いで見える化の例】
・配膳(順序、食器の並べ方)
・洗濯物たたみ(たたみ方)
・料理の下準備(卵の溶き方、野菜の皮の向き方)
・掃除(テーブルのふき方、フローリングワイパーのかけ方)
・ペットの世話(トイレの始末の仕方) など
学校や習い事に行くときに必要なものを示して、忘れ物を防ぐことにも使えます。
必要なものを1枚ずつカードに描き、その都度組み合わせる方法です。
前日の夜にカードを組み合わせ、可能な範囲で準備しておきます。
当日出かける前に、そのカードを参照しながら、一対一対応でチェックしていくとよいでしょう。
【カードにしておくとよいものの例】
・学校
→ランドセル、帽子、水筒、体操着、給食袋、教科書、ノート、タブレット、筆箱、下敷き、連絡帳、タオル、ハンカチ、ティッシュ、リコーダー、書道セット、絵の具セット など(その他必要に応じて)
・習い事
→練習着、帽子、タオル、シューズ、水筒、楽譜、バッグ など(その他必要に応じて)
見える化する方法として、イラスト、マーク、ピクトグラム、写真、実物などさまざまなものが考えられます。
ただ、何をどのように提示するのかによって、お子さまの理解の仕方が効果が異なります。
お子さまにとって何がいちばん理解しやすいかがわかるまで、親子でいろいろな方法を試すのも楽しいかもしれません。
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