どうしてルールが守れないの?【発達障害・グレーゾーン】

どうしてルールが守れないの?【発達障害・グレーゾーン】

学校で集団生活するときや、友達と遊んでいるとき、また家庭の中で、発達障害・グレーゾーンのお子さまがルールを守れないことに困ったことはありませんか?
「話をちゃんと聞いていないから」「わがまま・自己中だから」というのは、違うかもしれません。
今回は、発達障害・グレーゾーンの子どもがルールを守れない理由について、お話しします。

発達障害の子どもがルールを守れない理由4つ

発達障害の子どもがルールを守れない理由は、次の4つが考えられます。

・ルールが見えないから

・ルールを理解できていないから

・ルールを守る意味をわかっていないから

・衝動がコントロールできないから

 

一つずつ詳しく見ていきましょう。

理由① ルールが見えないから

ルールには目に見えるルールと目に見えないルール、いわゆる暗黙知(暗黙の了解)があります。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもは、この暗黙知を理解することが難しいという面を持っています。

定型発達の子どもは、社会生活の中で、周りの人々の言動を見聞きして、例えば「先生が黒板の前に立ったら静かにする」「電車やバスの中では騒がない」「借りたものは丁寧に扱う」などの暗黙知を獲得していきます。

しかし、ASDの子どもは、言葉の言外の意味や他人の感情などを推察したり理解したりする力が低いため、暗黙知を獲得しづらいのです。

理由② ルールを理解できていないから

発達障害の子どもがルールを理解できていない理由には、さまざまなことが考えられます。

集中することが苦手

まず「集中することが苦手」ということが挙げられるでしょう。

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性を持つ子どもは、注意散漫なため、1つのことに集中することが苦手だったり、多動性が強いため、座り続けることが難しかったりします。

そのため、学校などで先生の話を聞いて理解することに困難があり、結果ルールをわかっていないということがあります。

また、ASDの特性として、対人関係に困難がある場合があります。

人と話すことが苦手で、人と会話するだけで過度に緊張してしまったり、反対に相手の話に興味がなかったり、また、見えないルールのところでもお話ししたように、言葉の意味を汲み取れない・言葉から状況を想像できなかったり(「静かにする」=「大きな物音を立てない」に変換できないなど)するのです。そのため、ルールの説明を集中して聞けていないことや、ルールを理解できていないことがあります。

また、聞くことで精いっぱいというケースもあり、こうした場合は、真面目にルールの説明を聞いていたのに内容を覚えていないということも起こります。

文字を読むことが苦手

限局性学習症/限局性学習障害(SLD)の子どもの場合、集中力や理解力の問題ではなく、そもそも書かれているルールが読めていないことが考えられます。

SLDは、本人が努力しても、その特性のため文字という記号が認識しにくく、文章がうまく読めません。

読むだけで疲れてしまい、内容を覚えられないというケースもあります。

特定の音や光、感触が苦手

発達障害の特性の一つに「感覚過敏」があります。

刺激が苦手 発達障害・グレーゾーンの子どもの感覚過敏とは?

 

感覚過敏とは、特定の音や光、感触などに過度に敏感で、生活を送ることに支障をきたす状態をいいます。

感覚過敏の子どもは、五感が敏感で、特定の音や光、感触などに過度に反応してしまいます。

例えば、周囲の音がとても気になったり、窓から差し込む日の光や近くにいる人の服の匂いが苦痛だったり、特定の素材が苦手で長袖を着るのを嫌がったりする場合があります。

お子さまがルールが理解できていないとき、もしかすると、本人は真面目にルールの説明を聞こうとしているけれども、環境が気になったり、精神的な苦痛を感じていたりして、話が頭に入ってこない、または、集中して聞けていないのかもしれません。

また、特定の服を着るというルールがあったとしてそれを守らない場合、その子どもは触覚の感覚過敏の可能性があります。

例えば、長袖などを着ると腕がチクチクするなど、決められた服を着ると苦痛を感じるため、その服が着られないのです。

理由③ ルールを守る意味をわかっていないから

子どもがルールを守らない理由の一つに、ルールを守る意味をわかっていないことが挙げられます。

自分には関係ない・ルールを守る必要がないと思っているのです。

理由④ 衝動がコントロールできないから

ルールは理解できている、ルールを守る必要性もわかっている、けれどもルールを守ることができない場合、衝動をコントロールできていない可能性があります。

ADHDには「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性があり、子どもによってどの特性が強く出るかが異なります。

衝動性が高い子どもは、自分の感情や行動をコントロールすることが難しく、たとえ頭でルールを理解していても、その場で「こうしたい!」と思うと、行動してしまうので、結果ルールを守れていないことになるのです。

まずは、理由を探りましょう

発達障害・グレーゾーンの子どもがルールを守れない理由はさまざまです。

まずは、お子さまをよく観察したり、話を聞いたりして、その理由を探りましょう。

そして、理由がわかったら、次にルールを守るための方法を考えましょう。

次回は、ルールを守れない理由ごとの対処法をお話しします。

マイラビ事務局

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学びづらさがあるお子さまが無理なく学習に取り組め、保護者の方も安心して見守ることができる教材を…という思いから、新しい教材をつくりました。
【マイラビ〈my learning habit 〉】です。

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