発達に遅れや偏りがある子どもは、その場の状況をさっと理解するのが苦手です。
そのため、何もできなかったり、突拍子もないことをしてしまったりすることがよくあります。
それを緩和する手段として考えられるのが「構造化」です。
「構造化」は視覚的にわかかりやすい環境をつくることです。
今回は、そのうちの一つ、安心して過ごせる空間づくり「場所の構造化」について紹介します。
「場所の構造化」とは、「どこで」「何をするのか」を、文字や写真、イラスト、マーク、ピクトグラムなどを使って、可視化(見える化)することです。
発達障害(神経発達症/神経発達症群)(*)やグレーゾーンのお子さまは、耳で聞いただけの情報を記憶しておくことや、「暗黙のルール」を察して行動することが苦手です。
場所についても、一般的な子どもと同じように「ここは○○をする場所」と、瞬時に認識することは難しいようです。
特に、家の中の共有スペースは家族が思い思いに過ごすことが多いので、お子さまが混乱するケースがよくあります。
「場所」と「目的」を対応させ、はっきり目に見えるかたちで示してあげることが大切です。
(*)「発達障害」は、医学的には「神経発達症」「神経発達症」と呼ばれます。
また、「発達障がい」について検索される方の便宜を考慮し、 神経発達症のことを一部「発達障害」と表記させていただいております。
場所と対応させる「目的」は、大きく分けて2種類が考えられます。
1つは「勉強する」「遊ぶ」「着替える」など「活動」に関すること、もう1つは「ランドセルを置く」「上着をかける」「連絡帳を置く」など「用途」に関することです。
それぞれの工夫やポイントを見てみましょう。
勉強する場所、遊ぶ場所、着替える場所など、活動に合わせた空間をつくり、わかりやすいかたちで示しましょう。
【例① 勉強する場所】
・リビングのテーブルやダイニングテーブルをマスキングテープなどで区切る
・区切ったエリアに「べんきょうスペース」と表示する
・そのスペースにはものを置かない
【例② 遊ぶ場所】
・パーテーションやカーテン、段ボールなどで仕切る
・カーペットやラグなどで区切る
【例③ 着替える場所】
・マットなどを敷く
いつも使う「もの」をいつも同じ場所に置くようにすると、必要なときに迷わずに取り出すことができます。
その場所は「何を置く場所なのか」を、イラストやピクトグラムを用いたカード、ラベルなどで表示しましょう。
【表示しておくとよい場所の例】
・ランドセルや学用品などを置く場所
・帽子や上着をかける場所
・連絡帳やプリントなど保護者宛のものを置く場所
・洗濯するものを入れる場所
・ゴミを分別して捨てる場所
・ゲームなど遊び道具を片付ける場所
・自分の大切なものを保管する場所
・リモコンなど共有物を置く場所 など
★外出先では繰り返し説明しましょう
家の外には、目に見えないルールがたくさんあります。
例えば、大きな声で話してはいけない場所、立ち入ってはいけない場所、荷物を置いてはいけない場所、飲食をしてはいけない場所、土足で上がってはいけない場所など、目的に応じてさまざまなです。
こうした目に見えないことへの理解は特に難しいので、その理由と場所ごとの目的を繰り返し説明するようにしましょう。
できれば専用のメモをつくり、場所とルールを書き留めておくようにしましょう。
外出するときに持ち歩き、いつでも振り返りができるようにするとよいでしょう。
★色や柄はやさしいものに
仕切りや区切りに使うパーテーションやカーペット、テープなどは、できるだけ刺激のないものにしましょう。
強い色や鮮やかな色、また、複雑な柄や細かすぎる模様は避け、シンプルで落ち着いた感じのものを選びましょう。
★気持ちが休まる場所をつくってあげましょう
発達に遅れや偏りのあるお子さまの中には、イライラや不安感が強い子がいます。
そうしたお子さまには、一人になって休息できる場所をつくると安心です。
その場合も、他の場所とはっきり区別し、いつでも自由にいけるように配慮しましょう。
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