発達障害(神経発達症/神経発達症群)に関連して、近年、メディアなどで「発達性ディスレクシア」という言葉がよく登場します。どのような症状をいうのでしょうか。
「ディスレクシア」とは、学習障害(神経発達症/神経発達症群)の一つのタイプで、知的な遅れや視聴覚障害はなく、また、十分な教育を受けているにも関わらず、知的能力に比べて文字を読んだり書いたりすることに困難がある症状をいいます。
いわゆる「書字能力」や「読字能力」が身につかないことから、国語だけでなく教科全般において学習に遅れにつながり、それが原因で学校生活に適応できなくなって不登校になるケースもあります。
文字の読み書きができないことは自尊心にも関係するため、お子さま自身も言い出しにくく、また保護者の方も信じがたい気持ちが優先してしまいます。また、外見的に見えるものでもないので、気づかれにくく、対応が遅れる場合も少なくありません。
日本でも人口の5~8%、欧米では10~15%の人が該当するといわれています。
ディスレクシアの大きな症状としては、文字を読むのがとても遅い、読んでもよく間違えるということなどが挙げられます。
ひと文字読むのに時間がかかるうえ、間違えることもしばしばあることから、読むこと自体が大きな負担とストレスになり、次第に読むことを避けようとする傾向が見られます。
そのため、文や文章の意味を理解する段階までにたどりつけず、学校の勉強についていけなくなるお子さまも多くいます。
具体的な特徴や症状を見てみましょう。
文字を読むことに困難がある「読字障害」の初期症状として、次のような例が挙げられます。
□文字を一つひとつ拾って読む
□一文字ずつ指で押さえなければ読めない
□字間や行間が狭くなるとさらに読みにくそうにしている
□文字を読み飛ばすことが多い
□文末を適当に変えて読んでしまう
□文字、文、文章を読むのを嫌がる
□文字、文、文章を読んだ後、かなり疲れている
文字を書くことに困難がある「書字障害」の初期症状としては、次のような例が挙げられます。
□促音(小さい「っ」)や拗音(「ゃ」「ゅ」「ょ」)を書き表すのが苦手
□撥音(「ん」)を書き表すのが苦手
□長音(「おかあさん」「おじいさん」など二重母音)を書き表すのが苦手
□助詞の「は」「を」「へ」を書き表すことが難しい
□「わ」と「れ」、「貝」と「見」など字形が似ている文字をよく間違える
□画数の多い漢字に誤りが多い
ディスレクシアをもつ子どもは、日常生活のさまざまな場面において、困難を感じていることがあります。
例えば、学校生活においては、
・板書をする
・メモをとる
・漢字の書き取り、作文をする
・読んだことのない文章を音読する
・筆記で解答する
などのようは場面です。
また、会話面は問題がないので対人関係での困りごとはほとんどありませんが、文字の読み書きができないことを指摘されたことをきっかけに、自尊心が傷ついたり、自信をなくしたりする場合があります。
お子さまにディスレクシアの心配があるときは、医療機関を受診するとともに、学校の先生に相談し、負担が解消できるよう対策をお願いしておくとよいでしょう。
ディスレクシアは知能の問題ではなく、文字とその読み(音)を自動的に結びつける脳機能の発達が未熟であることから起こるといわれています。
音韻処理が困難であることが背景にあるので、早い時期(できれば小学校低学年)に診断を受け、支援を行うことで症状が大幅に緩和されます。
お子さまが文字を読んだり書いたりするのに困難を感じているようなら、早めに専門機関にご相談されることをお勧めします。
*検索される方の便宜を考慮し、 神経発達症のことを一部「発達障害」と表記させていただいております。
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