- マイラビ通信
「先生の話を聞いていない」「好き嫌いが多い」「服を着てくれない」といったお子さまに関するお悩みを耳にすることがあります。もしかすると、それは「感覚過敏」が原因かもしれません。
今回は発達障害の子どもが抱える感覚過敏の問題についてご説明します。
「感覚過敏」とは、視覚・聴覚・触覚などの感覚が過剰に敏感で、外部からの刺激に強い反応を示す状態をいいます。反対に、感覚が鈍く、痛みなどを感じにくい状態を「感覚鈍麻」といいます。発達障害の子どもたちはこれら感覚の問題を抱えていることが多いと考えられています。
感覚過敏になると、生活の中で接する光や音などの刺激や情報を過度に受け取ってしまい、混乱したり不快感が生じたりします。そのため、刺激を与えるものが苦手になり避けようとしたり、肉体的・精神的に疲れてしまったりします。また、反対に、通常は人が快く思わないような感覚を好み、その感覚を求めて危険なことや好ましくない行動をする場合もあります。
感覚過敏は、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感に生じます。一つの感覚が過敏になるケースと複数の感覚が過敏になるケースがあります。
・光をとても眩しく感じる。
・テレビやパソコン、スマートフォンの画面から目をそらしてしまう。
・色の組み合わせでとても苦手なものがある。
・色を正しく捉えられない。
・奥行きや距離など空間把握が難しい(キャッチボールが不得意、壁や柱などにぶつかりやすいなど)。
・人混みなどで動くものが目に入ると疲れてしまう。
・反射・回転しているものなどを長時間見続けてしまう。
・音が大きく聞こえる。
・通常、人が感じないような音が聞こえる。
・複数の音が同時に聞こえる。
・音が高く、もしくは低く聞こえる。
・突然の大きな音、特定の音や声が苦手(赤ちゃんの泣き声、花火など)。
・騒々しい場所で話を聞き取ることが難しい(必要な音を選んで聞くことができない)。
・時計の針が動く音や、換気扇、エアコンの稼働音など、生活音が気になってしまう。
・痛みに対してとても敏感、もしくは鈍感。
・触られると痛かったり、くすぐったかったりする(握手など触れることが苦手)。
・温度を暑く、もしくは寒く感じる。
・温度に鈍く、季節感のない服装をしてしまう。
・特定の服を好んで着る(着心地、履き心地にこだわり、もしくは苦手なものがある)。
・帽子・手袋・靴下・マスクなどをつけることを嫌がる。
・つまさき立ちや、かかとで立って歩く。
・手がベタベタになることや、水がつくことなどをとても嫌がる。
・気に入った感触のものを常に触っている。
・ネバネバ、サクサクなど特定の食感が苦手(口の中の触覚が敏感)。
・乗り物、エレベーター、ブランコなど動くものが怖かったり、苦手だったりする。
・味が濃く、もしくは薄く感じる。
・とても苦手な味がある。
・同じ商品ばかり食べる(味の微妙な違いに敏感)。
・味や触感が混ざり合うことが苦手。
・においや香りを強く感じる(香水などのにおいで気分が悪くなることがある)。
・特定のにおいが苦手(洗剤や花、乗り物、人など)。
・化粧品売り場や食品売り場、動物園など、においがする場所が苦手。
・周りの人が感じないぐらいのにおいにも気付く。
・何でもにおいを確認してしまう。
感覚過敏は病気ではありませんが、過度になると生活に支障をきたし、生きづらさに繋がります。しかし、本人にしかわからない感覚のため、周囲から理解されにくく、“わがまま”、“変わっている”と誤解されることが多くあります。
その感覚自体はわからなくても、感覚過敏がどのようなものかを理解し、配慮することはできます。どのような感覚が苦手でどういった対応が必要なのかを理解し、本人が過ごしやすい環境を整えたり、対処法を一緒に考えたりすることが大切です。