• マイラビ通信

発達障害の特性を早めに理解することで、お子さまの自信を育む

発達障害(神経発達症/神経発達症群)やグレーゾーンのお子さまをもつ保護者の方々の共通のお悩みを紹介し、解消につながるヒントを小児科医であり武庫川女子大学教授の宇野里砂先生のお話から探ります。

グレーゾーンであることを保護者の方に伝えるべき?

発達に心配があったり、家や学校で困りごとがあったりするお子さまが専門医の診察を受けた場合、いくぶんかは神経発達症/神経発達症群、もしくは知的発達症の診断がつきます。
残りの子どもたちは、そうした診断がつかないものの、定型発達*ともいえない境界域、いわゆるグレーゾーンにあたります。
発達障害(神経発達症/神経発達症群)と診断がつくお子さまもグレーゾーンのお子さまも、その子のペースで発達していきますが、成長が進むにつれて、発達の特徴や特性が見えやすくなります。
宇野里砂先生は、その特性が見えやすくなるどのタイミングで、診断や特性について保護者に伝えるべきか、ずっと迷われていたといいます。
そもそもグレーゾーンのお子さまの場合、あえてそれを伝える必要があるのかどうかというところから悩まれたそうです。
しかし、長く診療にあたられるなかで、できるだけ早い時期に積極的に伝えたほうがよいという結論を得られました。

*定型発達…年齢ごとの発達の特性と比較して遅れがない状態を表す言葉。

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診断や特性を早いタイミングで伝えることの大切さ

宇野里砂先生は、乳幼児期から学童期、大学生と育っていくお子さまをみるうち、より幼いころから特性を理解されている子どもほど、育ちとともに現れる困りごとを乗り越えやすいことに気づかれたといいます。
そのため、グレーゾーンのお子さまにも積極的にそれぞれの特性を伝えることが大切であると認識されるようになったのです。
すべての子どもは、成長とともに対人関係や学習など複雑な状況に置かれることになり、環境が変わるたびに乗り越えなければならないステップが大きくなります。
特性をもたない子どもでもその負担は大きいのですが、、発達障害(神経発達症/神経発達症群)やグレーゾーンのお子さまにとってはなおさらです。
それでも、
 ●身近なところに理解してくれる人がいうという安心感
 ●自分も「やれそうだ!」「できそうだ!」という自信
をもっているお子さまは、無事に乗り越えることができるといいます。それには、
 ●特性を理解されること
 ●適切なスモールステップ環境
が大切です。
これらをベースに小さな自信を積み重ねていくと、自己有用感をもって次のステップに挑んだり、適切に我慢できる気持ちをもてるようになるのです。

子どもはみんな「できるようになりたい」と思っている

発達障害(神経発達症/神経発達症群)やグレーゾーンのお子さまの中でも、特に学童期のお子さまをもつ保護者の方の多くは、勉強に対して不安をかかえていらっしゃると思います。
「お子さまが勉強をいやがる」「集中してくれない」などさまざまなお悩みがありますが、保護者の方がつきっきりで見てあげると、勉強ができるお子さまが多いのも、発達障害(神経発達症/神経発達症群)やグレーゾーンのお子さまの特徴です。
しかし、この先もずっとつきっきりというわけにもいかないので、早めに手立てを考えなければなりません。
実際にお子さまの多くは「できるようになりたい」というやる気をもっているものの、何かの原因で「自信がない」「だからやりたくない」と思っていることも多いようです。
その原因の一つに教材が挙げられます。
一般的な教材は、特性をもつお子さまにとって負担が大きく、仕上げるのに時間がかかります。
その途中でいやになり、投げ出してしまうことも多くあります。
お子さまの特性に合わせた支援が施された教材があれば、お子さまのやる気を損なうことなく勉強が続けられるでしょう。
文字を読んだり書いたりするのが苦手、言葉や文章の読み取りに苦労している、図表や図式の意味を理解できていないなど、お子さまがどんなところで学びづらいと感じているか、お子さまの気持ちに耳を傾けてあげましょう。

*検索される方の便宜を考慮し、 神経発達症のことを一部「発達障害」と表記させていただいております。